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高校入学から数週間が経ち、そこそこクラスメイト同士仲良くなり、遊びに行くことも増えた。
仲良くなったメンバーで今週末カラオケに行く事になった。
ふと、休み時間に教室を見渡すと八上さんが自分の席で読書をしていた。
僕は八上さんともカラオケに行って仲良くなりたいと思い、今週末のカラオケに誘う事にした。
「こんにちは、八上さん。何読んでるの?」
フランクに、差し障りのないことから話し始める。
「……芥川龍之介」
ポツリと微かに答えた。
読書をあまりしない僕は芥川龍之介の名前こそ聞いたことはあるが、まだ彼の作品は読んだことが無かったため、如何程の難しさであるか知らなかった。
「芥川龍之介かぁ?、難しそうな人の本を読むんだね」
僕は笑顔で彼女と話す。
「そんな事ないわ。それは貴方が本を読みなれてないからそう思うのよ」
彼女は一切こちらへ視線を向けることなく、冷たい無表情で応対する。
「そ、そっか。でさ、八上さん。突然で悪いんだけど、今週末空いてるかな?」
唐突では有るが、これ以上本の話をして機嫌を損ねるのは良くないと思った僕はカラオケの話をし始めた。
「今週末、クラスの人達とカラオケに行くんだけど、八上さんもどうかな?」
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