君と私

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「それでさ、なんで眞は急に俺と離れ離れになる事を想像したんだよ」  そうして、私の心も少し穏やかになり顔色も良くなった私の表情を見て、盲質問してもよいのかと思ったのか、千尋は私の顔を見た後突然話の中核へと入り込んできた。  ……しかしながら、ただでさえ今まで私が馬鹿にし続けてきた奴に泣き顔を見せてしまったのに、私が馬鹿にされた事が発端で泣いてしまったとばれてしまったら生き恥でしかない。  けれど、嘘を吐くと言うのも何故か嫌だった。 「……でもさ、実際そうじゃん、高校まで一緒だったとしても流石に大学まで一緒に行けるとは限らない。それに大学が同じだったとしてもその後は同じとは限らない、一緒に居ると言う確証はないじゃん」  でも、言葉にしてみると心の中で考えていた以上に心が痛くなってしまう、私は八年間も千尋と一緒に育ってきた。それは私の生きた年月で言えばちょうど半分くらいは一緒に居る事に成るのだ。  其れが居なくなってしまうと言う喪失感は考えたくはない。ある種の独占欲か依存と言う物なのだろう。 「……そりゃそうだが」 「だから、私が頑張っても千尋に追いつけなくなった時にね、死ぬ程辛い思いをし無い様に今の内に慣れておこうかと」  この言葉はある意味真実なのだ。……私が今回泣いてしまった理由ではないが、以前私が泣きそうになってしまった原因ではあるのだ。だからうそをついている訳では無い。  だけれど、そんな事を面と向かって言うのは何故だか心が痛かった。 「……中学の頃もそういうことは何となくだけど、考えてたんだけどさ」  「……なんだよ、それ」  そんな私の台詞に千尋は恨むような、憎むような、怒気を感じさせながら私を睨んでいた。……私には何が千尋をそうさせたのか全く分からなかったが、とりあえず空気が悪くなってしまった事だけは分かった。 「それにさ、ずっと前は私が千尋に付いて来いって言ったけど、今じゃ私が千尋を追っている、意味も無く、執念みたく付き纏ってるだけなんだよ」  けれど、私は考えていた台詞を怯えずに千尋に対して言った。私はもう前みたいに千尋を引っ張るような力はない。ただ前のような関係を続けていきたいだけで執念の如く付き纏っていただけだ。  そんな奴に付き的追われていたら大変だろう、そう意思を込めてその言葉を声を震わせながら千尋へ言葉を放ったのだ。
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