その後の君と私

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その後の君と私

 あの日から数か月、既に夏は過ぎ去り、と言うかもうすぐ信念が始まると言う頃となって居た。……私にとってはあの保健室の日からは様々な事が有って一瞬の事の様に思えていた。 「やっぱ、眞って可愛いよな」  あの日、私は初めて完全に千尋へと主導権を渡してしまった。……しかしながらそれは別に関係なくて、私達の関係がほんの少し変化したところで本質は全く変わらないのだ。千尋が私を引っ張りながら、私を弄る。  昔の時とは全く関係が真逆になってしまって居る。まあ、これが一般的な女子と男子の形になったと言う風に思うし、別にそれでも私は嬉しいと思う。 「調子に乗んな」  そしてあの日、保健室のベットに押し倒された私はその後の千尋の言葉である「今度は俺が引っ張ってやってやる、そして今度は俺が眞を弄ってやる。……だから俺の彼女になれ」その台詞を何故か私は許諾してしまい、今では学校内では有名な程のおしどりカップルとなって居る。  ……本当に、未来と言う物は全く予想がつかない。千尋を助けた時はまさかこんなに関係が逆転してしまうとは全く思ってはいなかったし、まさか初恋の相手が千尋になるとは思わなかったし、一瞬で落とされてしまうとは絶対に思っていなかっただろう。 「昔の眞が俺を弄ってた理由が良く分かるわ、面白いし可愛いし」 「本当に黙れよ」  まあ、そうはいっても元から私達は「本当に付き合ってないの?」とまで言われていたほどで、私達が付き合い始めた時に本当に付き合って居なかった事を知って阿鼻叫喚の嵐に巻き込まれそうだった。  曰く「リア充以上にリア充してるくせに付き合ってなかったとか何なの? 彼氏に冷たくされてる私に喧嘩売ってるわけ?」等と良く分からない罵詈雑言を浴びせられるほど、付き合っている風だったらしい。  ……その所為で、付き合っても特に何かが急変したと言う訳でも無く、ただ私が弄られるサイドに移って、赤っ恥をかいた私にとってはかなり損しかない事となってしまったのだ。 「なんで眞が赤面してるかは知らないが、さっさと行くぞ? クリスマスツリー見に行くんじゃねえのか?」 「ばっ、赤面なんてしてないし! と言うか遅れたのは寝坊したり弄ってきたりした千尋が悪いよ全面的に!」  そんな夫婦喧嘩とクラスから呼ばれている様なものをしながら、私達は目的の場所へと向かった。
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