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つきましては、この淵無まできてもらって、本格的な調査をお願いできませんか。
周囲の人間は正直、当てにはなりません。
もちろん、こんな話を地元の警察がまともに取り合ってくれるわけもなくて、どうしたらよいかわからなくて困っています。
このままうやむやにした状態で、この先過ごしてゆくのか。
自分としては、内容の良し悪しに限らず、何らかの結論を得て納得したいのです。
どうか編集部にて厳正な話し合いの上、検討いただけないでしょうか。
一方的に文章を書いてしまい、不快な思いをさせてしまったならば謝ります。
それだけ切羽詰まった精神状態に悩まされているものとご理解下さい。
それでは失礼させてもらいます。
匿名での投稿、なにとぞご容赦下さい。』
「どうよ?」
読み終えた手紙をテーブルに置いたのを合図にしたように、羽下守が口を開く。
私はすぐには答えずに、頬杖をついて手紙に視線を落として考え中。
「あれ、妙に反応悪いな。
てっきり記事のしがいのあるネタだって喜ぶかと思ってたんだけど」
「興味深い手紙だとは思います。
書いてある内容も実際、記事にしたらなかなか面白いものが書けそうで......編集部はこの手紙、どんな評価をしてるんですか?」
私は魅力溢れる瞳(自惚れ)を羽下守に向けて聞いてみる。
大概の男ならオチる上目遣いも、無頓着な羽下守には効果を発揮しない。
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