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「要するに一家行方不明事件の報道はされてないわけですね。
赤いてるてる坊主の件が報道されてないのはまあ、わかりますけど。
......羽下守さんは、行方不明事件は本当にあった話だと思いますか?」
「さあ?
現時点での判断状況が難しいからな、実際に起きた話なら、どんな形であれ、報道されてないのはおかしい。
どこの誰かもわからないんだから、名前から調べる方法もない。
出航したばかりでいきなり暗礁に乗り上げちまった感じだわな」
「差出人についてはどう思われます?
現時点で唯一、行方不明事件を知っていて、同時に赤いてるてる坊主の話を伝えてきた謎の人物......文章からは男性っぽい印象を受けましたけど、女性の可能性だってあり得ます。
手紙の内容からして、目的は行方不明事件の告発と危険な遊びの解明、でしょうね」
「だな。
自分の説明は棚上げして、言いたい事だけ言ってドロンと消えやがる。
こうなると先に差出人がどこのどちら様かを、白日の下にさらしたくなるわな。
と、なるとだ。
どうするかはもうわかるね巫女ちゃん?」
羽下守のまるで色気ない上目遣いに薄気味悪さを覚えながらも、私はすでに答えを導き出していた。
「直接、会いに行くって事ですか。
この手紙の差出人に」
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