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この仕事を始めてそれなりの年月が経つけど、まだ取材というものを経験してはいない。 わざわざ足を運んで入念な取材をしなくとも、自分の考え方次第でどうにかなってしまう。 乱暴に聞こえるかもしれないが、それが出不精の私に合ったスタイルであり、ずっとそのやり方を貫いてきた。 「......でも、どうして急に取材なんか? 確かに興味惹く内容ですけど、このテの話ならば過去にもいくつか取り上げてる筈ですけど」 「知らね」 「マジですか」 「まあ、それだけ編集部も興味をそそられたって事じゃないの? 大した額じゃないけど一応、取材費用も出てるから、こちらとしては断る理由はないわけだけど」 「いえ、費用云々でなくですね、もう少し慎重に考えてもよいのではと。 だって今まで取材NGみたいな風潮があったのに、どうしてこの件はGOサインが出たのでしょう? そこに疑問を差し挟むべきではないですか?」 「それはね巫女ちゃん、俺の今朝の占いが一位だったからさ」 「羽下守さん、真面目に考えて......」 「それか、赤いてるてる坊主様の思し召し............とでも答えた方がよかったかな? その方が記事的には断然面白さが増して部数も伸びるかも......やだな巫女ちゃん、黙りこくっちゃって。 冗談だよ、冗談」
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