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「冬美さん、ちょっと」 帰りの会を終え、帰宅の準備をしていた冬美は担任の志木に呼び止められ、手を止める。 「はい」 席を立ち、教壇にいる志木のもとへ歩み寄る冬美の様子を、後方から夏希と千秋がそろって見守る。 「あなたのお家、確か春菜さんのお家の近くだったわよね?」 冬美が何の用かたずねる前に、志木から一方的に話を切り出し始める。 「はい、そうです。 私が使う通学路からは少しずれますけど......」 「知っての通り、今日は春菜さん休みだったでしょ。 それでさっき配った臨時の保護者会のプリントを、春菜さんのお家に届けてもらいたいの」 そう言って志木は手にしたプリントをさっと冬美の前に差し出す。 「はあ、別に構いませんけど、そんなに急ぐものでしたっけ? 今週中に提出すればいいって先ほど聞いたばかりですけど......」 つまり、明日以降に出席する春菜に渡せば済む話ではないかと、冬美は言いたいわけである。 「それなんだけど......プリントの件とは別に、冬美さんに頼みがあるの」 「頼み......ですか、私に?」 冬美の瞳に戸惑いの色が浮かぶ。 「そう、もちろんプリントを渡すのも大切なのだけど......それとなく春菜さんの様子と言うかな、体調がどんな具合か確かめてほしいの」
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