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その件については、春菜から前に散々愚痴を聞かされていた。 本人は子猫なり子犬が飼いたいのだけど、大家が大のペット嫌いとかで、前に内緒でペットを飼っていた住人を叩き出して騒ぎになった事があるらしい。 そんな状況下で、ペットなど飼う余裕がある筈もないのを、冬美はよくわかっていた。 「そう......すると唸り声に聞こえたのは私の気のせい......とは思えないのだけど......電話中にたまたま大型犬が近くで吠えたとか? ......それにしても電話の近くから聞こえた気がしてならないのよねえ......」 自問自答を繰り返す志木を前に、冬美は助けを求めるように見守っている夏希と千秋に視線を促す。 夏希は両手を肩先まで上げてのお手上げポーズ、千秋は口の動きから何事かを伝えようとしているみたいだが、声になってないから冬美にはわからない。 あなた達もこっちに来なさいよ。 志木の様子をうかがいつつ、片手を上げて手招きする冬美だが、夏希と千秋は両手で×印を作りながら教室から退室。 薄情者! 「ああ、ごめんなさい。 勝手に考え事してしまって......ま、そんなに難しく考えなくていいのよ。 プリント渡すついでに、お友達の様子はどうか確かめるだけの話だから。 ね、お願い出来るかしら?」
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