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「はい、ご連絡が遅くなりまして。
現在、土砂崩れの現場に赴いて、状況を確認したところでありまして」
「それでどんな状況だ」
ねぎらいの言葉一つかけない相手に、腹の中で思い切り悪態をつく。
そんな配慮に欠く相手の横柄かつ威圧する態度に、村瀬はひどく憤慨する。
こっちがどんな思いで現場にきてるとおもってるんだ、自分はのうのうとリラックスしているくせに……
「大量の土砂が道路に流れ込み、分断してしまっている状態です。
このままではこちら側から車を使えなくなり、物資の運搬やら復旧作業に大きな影響が及ぶと考えられます。
それも天候も考えると、すぐに手をつける事は叶わず、最低数日におよぶ缶詰生活を余儀なくさせられると思われます」
「そんな事は君に言われなくともわかってるよ。
それを見越した上での対応をどうしたいのか、それを聞いているのではないか」
知るか!
決して口にはださず、腹の中だけで怒りの叫びを上げる村瀬。
「どうと言われましても、私も一役員に過ぎぬ身、できる事には限界があります。
あの、具体的にどうしたらよいのか、区長から助言をいただければ幸いなのですが……」
「仕方がないな、全く……よし、ひとまず現在の状況を一刻も早く役場と警察に知らせておく。
ま、これくらいはそちらでやっておいて貰いたいところなんだがね」
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