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話しながら両掌で祈る仕草をする夏希だが、とても真剣に祈っている風には見えない。
「それのどこが祈っているっての?
口先だけは調子いいんだから......」
「春菜の話、してたみたいだけど?」
話に割って入って来た千秋が、冷静な口調で尋ねて来る。
「うん、プリントを届けに自宅までね。
......その他にもちょっと、ね」
「その他?」
「春菜の様子を見て来て欲しいって。
......何か欠席するって電話があった際、気になる事があったみたいでね。
私に確かめる様にって、お達しがあったのよ」
「気になる事って何がよ?」
「帰りながら話さない?
てか夏希と千秋も、付き合いなさいよ。
私を見捨てた罪は重たいかんね」
冬美が横目で睨みつけると、2人は罰の悪い顔をしながらも承諾。
「ま、しゃあないね。
そんなに遠いわけでもないし」
「それに春菜の様子、確かに気になるし。
先生の話、もう少し詳しく聞かせてくれる?」
「いいよ。
でもそんなに細かくは聞いてないけど」
帰りの支度を整え、校舎を出る頃には大半の生徒が下校しており、数える程度の姿しかなかった。
冬美達3人はそろって下校し、春菜の自宅に向かって歩いてゆく。
簡単に春菜宅へ向かう理由と成り行きを説明すると、夏希は単純に納得し、千秋は何やら考え込む様子。
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