揺らぐ心

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和室から出てきた後の二人は何故だか悲しい顔をしていた。 蓮に至っては本当の姿を彩香に見せる為か着替えていた。 「蓮、彩香と何を話してたんだ?」 彩香は別の部屋に行き、今居るリビングには蓮と魁の二人だけ。 「何もないよ。」 蓮は素っ気ない態度を取った。 「その格好は、女に見せるのは嫌がって居たのに彩香には見せたんだな。」 「彩香は特別だからね。」 魁の言葉に蓮は負けじと喋る。 蓮は彩香を"特別"だと言った。 「特別…ね。彩香は蓮を特別と思っているかは分からねーのにな。」 魁は見下すように蓮を見る。 初めてお互いをこんな風に見る。 二人はそれでも必死だった。 ずっと協力し合いながら過ごしていたのに。 彩香の事だけは絶対に譲れないと言う強い気持ちが勝ってしまう。 「少し寝るよ。疲れたんだ、魁も遅くならないようにね?」 蓮はその言葉をスルーし、何もなかったかのように言い残し部屋に行った。 「神崎…彩香… お前は誰を選ぶんだよ。」 一人残ったリビングに響く小さな呟き。 魁も立ち上がり自分の部屋に行った。
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