593人が本棚に入れています
本棚に追加
/400ページ
和室から出てきた後の二人は何故だか悲しい顔をしていた。
蓮に至っては本当の姿を彩香に見せる為か着替えていた。
「蓮、彩香と何を話してたんだ?」
彩香は別の部屋に行き、今居るリビングには蓮と魁の二人だけ。
「何もないよ。」
蓮は素っ気ない態度を取った。
「その格好は、女に見せるのは嫌がって居たのに彩香には見せたんだな。」
「彩香は特別だからね。」
魁の言葉に蓮は負けじと喋る。
蓮は彩香を"特別"だと言った。
「特別…ね。彩香は蓮を特別と思っているかは分からねーのにな。」
魁は見下すように蓮を見る。
初めてお互いをこんな風に見る。
二人はそれでも必死だった。
ずっと協力し合いながら過ごしていたのに。
彩香の事だけは絶対に譲れないと言う強い気持ちが勝ってしまう。
「少し寝るよ。疲れたんだ、魁も遅くならないようにね?」
蓮はその言葉をスルーし、何もなかったかのように言い残し部屋に行った。
「神崎…彩香…
お前は誰を選ぶんだよ。」
一人残ったリビングに響く小さな呟き。
魁も立ち上がり自分の部屋に行った。
最初のコメントを投稿しよう!