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BARに続く階段を一歩一歩登る。
高めのヒールが優雅に音を鳴らす。
ドアに付いた鈴がチャリン、と音を立てて人が来たことを知らせる。
「いらっしゃい。」
マスターが私に気付いて声を掛けてきた。
…いた。
カウンターにぽつんと座った1人の男。
私もカウンターの椅子に腰を掛けた。
ちらりと男に目をやる。
切れ長の鋭い目、高い鼻に少し薄い唇。
瞳の奥はどこか闇を抱えてる様で目が合うだけで吸い込まれそうになる。
灰色の髪はハーフともとれる。
グラスに注がれたアルコールの高いお酒を男が口に入れて飲み干した。
男の喉仏が動く。
それだけで私の体は熱を帯びた。
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