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男が私に気付いて目が合った。
よく見たら目の色もグレー…。
整った綺麗な顔に思わず見とれてしまう。
「口が開きっぱなしだよ?」
男がくすっと笑った。
灰色の髪が揺れる。
「そんなに驚いて何を考えて居るのかな。」
声だけで堕ちてしまいそうになる。
低くて耳の奥まで響く、ずるい声。
金縛りにあったみたいに体が固まった。
言葉を発しない私の耳には甘い、甘い声だけが響く。
「聞いてる?」
「は…い…」
声が震える。
まるで怖いものを見て怯えるみたいに…。
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