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無駄な事は考えるな。序盤までは歩いていたが、今からが勝負なのだ。正直最初から急いでいればよかったのだろうが、何しろ俺は体力が無い。
最初から最後まで体力が持つ自信がないのだ。それに道中歩道橋があったり、階段があったり、坂道があったりとして、俺の体力をゴッソリと持って行く様なコースが目白押しとしてやがる。
そんな中で最初からトップスピードで歩いてみろ。俺は自信を持って大声で言える。俺は死ねる、と。
だが、そのコースを抜けるとそこは平らに広がる公園や、車の少ない住宅街が広がっている。
そこを抜けると、俺の高校へと辿り着く。
辿り着くまで、あと数分俺は全力を振り絞り歩きに歩いた。
残り時間なんて忘れて。ただ無言で、何も考えないで俺はひたすらに歩いた。
公園に広がる湖を優雅に泳ぐ鯉に舌打ちしながら。朝からベンチの上で交尾に盛る猫に眼を飛ばしながら。学校をサボったカップルの後ろをワザと通り越し、大声で叫びながら。俺はただ真っ直ぐ学校へと連なる道を歩いたのだ。
公園を抜け、住宅街へと入る。そこには大量の小学生軍団がいた。
「チックショウ……忘れてたぜ……!ここは通学路だった……!!クソ、今通学時間帯か……!」
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