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「お前、寝てただろう。その罰だ」
「いや、待った。こういうのは自主性のあるヤツに任せるのが上等だろ? 本当に誰もいないのかよ?」
アイツは教室中を見回して言う。やがて誰も手を上げないのが分かると、面倒くさそうにうな垂れた。
「……決まりだな。じゃあ、もう一人、お前で構わないか? 早田?」
びくっと体が震え、冷や汗が出てくる。こっちに話を振らないでくれよ。
「……誰もやらないんなら、やります」
俺が消え入るようにそう言うと、決まりだな、と教師は手を叩き拍手を促した。
全員から送られる拍手の中で考える。俺とアイツ。折り合いは悪いし、色々と反対なのに、妙な縁がある。その理由は、
早田カズキ。
早田一姫と早田一希。
俺とアイツの名前が、同姓同名だったからなのだった。
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