深夜の襲撃

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「「じいちゃん……」」 俺とねえちゃんの声が重なる。 「ふたりともわかっているな?」 「「……はい」」 俺たちは殊勝に首肯した。 子どものころから、悪いことをしてじいちゃんに叱られたら、道場で正座して反省する。 それはずっと変わらなくて、最近になってじいちゃんに叱られることもなくなってきてたけど、今回ばかりはそういうわけにもいかないみたいだ。 俺は庭に落ちている木刀と模造刀を拾って、そそくさと道場へ向かう姉ちゃんのあとに続く。 怒り心頭の母さんのお説教を聞くよりは、道場で静かに正座するほうが、断然ましだ。 正座して反省して戻ってくるころには、母さんの怒りもいくらかはおさまっているだろうし。 ご近所の家の窓に明かりが灯っている様子はないけど、やかましくしてしまったことは、俺だって既に反省してる。 今度、ちゃんと謝っとかないとな……。 とんだ夜になったもんだ、と俺は嘆息した。
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