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「課題はやっとけ。やった上で、行くか行かないか決めればいい。行かなくても構わんとは思うがな」
一呼吸おいて続けられた姉ちゃんの言葉に、俺はぎょっとして思わず隣を向く。
「高校なんて、無理して行かずともいいだろう。なんなら高認受けて、大学受験する手もある。選択肢はある」
俺は、姉ちゃんになんの相談もしてない。
そもそも夏休みのあいだふたりして家にいたって、それぞれの部屋にこもってることが多くて顔を合わす回数だってそう多くない。
なのになんで、俺が学校に行きたくないと思ってるってわかったんだ。
「どうして――」
「言っただろう。慮っているとな。だが、隣の部屋でいつまでも鬱々としていられるのは堪らん。体を動かせば多少はすっきりして、頭も働くようになるだろう。悩むのはそれからでいい」
「姉ちゃん――」
まさか、今夜の襲撃は、俺のために?
俺は驚いて、まじまじと姉ちゃんの横顔を見た。
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