深夜の襲撃

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俺が木刀を受け取ったとみるや否や、姉ちゃんがこっちに踏み込んできた。 「ちょっ、本気かよ姉ちゃん!」 「無論!」 「やめろ! こっちにはパソコンだってスマホだってあんだぞ!」 躊躇なく振り下ろされた木刀を、俺は鞘に入ったままの模造刀で受け取めた。 「やるな」 「やるな、じゃないだろ! こんな夜中に騒いだら、母さんにぶん殴られる!」 「やむを得ん!」   姉ちゃんがぎりぎりと木刀を押し込んでくる。 俺の背後にはパソコンとスマホ。 相手は姉ちゃんとはいえ、なにかを守りながらの戦いじゃあ、不利だ。 「やむを得ん、ことないだろ!」 俺は木刀を押し返して、その隙に姉ちゃんの脇をすり抜けると、自分の部屋から飛び出した。 「逃げるのか⁉」 「つきあってらんねーし!」  母さん怖いし! 「待て!」 案の定、姉ちゃんが俺を追ってくる。 「姉ちゃん、足音立てるな!」 廊下を走る音で、母さんが起きるかもしれない。 「承知!」 そこは承知すんのかよ、とつっこみたい気持ちをひとまず抑えて、俺は縁側から庭へと飛び出した。
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