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ここ、と、御厨は座っている場所をトン、と叩いた。
「よくさぼってここにいたでしょ。おれ、見たことあるんだ」
「え……」
御厨がさした場所は確かに蜂矢がさぼっているときに来た場所だ。校舎から見えないし、校外に出るには制服が邪魔をするからちょうど都合がよかった場所。
だけどそれは一人の時じゃない。
必ず誰かと一緒だったのだ。
「見たって」
「同じ人が一緒だったり違ったりしてたよね。ああ勘違いしないで、後をつけたとかじゃなくて……保健室の帰りだったり、ちょうど休みたかったりで……おれもここによく来ていたんだ」
知らなかった。
全く気が付いていなかった。
「じゃあ」
「うん、ごめんね。見ちゃった」
ここでふしだらな遊びをしていたことを。
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