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「あっ……っ、あ、あ、っ」
思わずと言ったようにしがみつく御厨の細い腰を抱きしめて、顔を上げると視線がぶつかり合った。
それは今まで見たことのない御厨の新しい表情だった。
「蜂矢……っ、はちや……っ」
うわ言のようにおれの名前を呼ぶその声は情欲に濡れ、さらなる劣情を煽る。
顔を寄せると御厨の方からしゃぶりつくように唇をぶつけてきた。覚えたばかりの情熱的なキスをしかけてくる。
ポタポタと汗を流しながら必死に口腔内を貪ろうとする御厨に応えるように、首の後ろに手を添えると強くひきよせた。
「……っ、あ、はあっ……」
何度も角度を変えながら御厨がおれを食らう。ついさっきまでキスも知らず、かたく歯を噛み締めていた男とは思えないような情熱的な口づけだった。
「キス、好きなの?」
呼吸の合間に問いかけると、うっとりとした表情でこくりと頷く。
「蜂矢の唇が柔らかくてきもちいいから、好きだ」
「おれも御厨のキスは気持ちいいから好きだよ」
見ると御厨の昂りはヌルヌルと先端を濡らしいらやしく糸を垂らしている。まだ誰にも触れられていないそれは桃色に色づき、さらなる刺激を待っているかのようだった。
おれは顔を落としていくとそれを口に含んだ。先走るしずくはしょっぱくて、青臭い匂いが鼻へととどいた。
突然のことに御厨はかたまり、おれを凝視している。
「これも気持ちいでしょ?」
見上げて問いかけるとこくこくと頷き「信じられない」と呟いた。
「蜂矢が、おれの、」
そのまま言葉につまり、動かなかくなった。
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