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いつの間にかぐっすりと寝入っていたらしく電話のベルで目を覚ました。一瞬会社に遅刻してしまったのかと慌てて飛び起きたが、今いる場所がホテルだったことに気がつき小さく息を吐く。
時計を見ると朝と呼ぶには遅すぎる時刻でさっきからなっていたのはホテルの内線電話らしかった。
出るとフロントからでチェックアウトの時間が過ぎている案内だった。
延長を伝えながら隣に視線を向けると御厨の姿がない。
ベッドに体温の残りもなく、いつの間に抜け出していたのだろう。
「御厨?」と声をかけた。
昨日はあのまま眠ってしまったからシャワーを浴びに行ったのだろうか。それにしては静かだ。
「御厨?」
もう一度声をかけたが返事はなかった。
最後のほうは御厨の中に散々ぶちまけてしまったので、もしかしておなかを壊してトイレにこもっているのだろうか。
下着一枚のだらしない姿で部屋の中を探したがどこにもいなかった。
「……まじかー」
どこにも御厨の服や持ち物もない。メモの一つも残さず姿をくらましてしまった。
ベッドに腰かけて冷たい水を飲みながら考える。
これが最後だ、といった言葉の意味は?朝さえ待たずに姿を消してしまったってことは、もうおれには会いたくないってことなんだろうか。
初めてだって言ってたのにガッツキすぎたのか。
それとも本当は経験済みで、珍しい元同級生を食っちゃおっかなーって遊びだったとか?
それともイメージしてたエッチとは全然違って、ほんとにがっかりするくらい残念な結果だったとか。
考えれば考えるほどダメージはでかい。
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