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二人で声をあげて泣きながらずっとしっかりと体を預けあった。
それは大事な人を失った同士、支えあうような強さでもあった。
この不思議な体験をどう説明していいのかはわからないけど、あれは本当だった。事実だった。
もしかしていつも孤独だったおれを見かねた祖母が最後に御厨に合わせてくれたのかもしれない。
いや、それよりも、会いたいと思ってくれた彼の気持ちの強さか。
どちらにせよ、御厨はもういないのだ。
「ごめんなさいね」
「こちらこそ、すみません」
互いの服がびしょびしょになるくらい涙をこぼして、顔中を真っ赤にしながら吐き出した気持ちはようやく落ち着きを取り戻していた。
彼女は立ち上がると引き出しから数冊のノートを取り出した。そしてそれをおれに渡してきた。
「これね、光が書いていたノートなんだけど……ごめんね光、本当は見せちゃダメなのかもしれないけど……せっかく蜂矢くんが来てくれたんだから……いいよね」
静かに眠る御厨にごめんと謝りながら、彼女はノートをパラパラとめくった。
「これね、ベッドから起き上がれなくなってもずっと書き続けていたみたいなの。自分と一緒に燃やしてほしいって頼まれていたんだけど」
「……」
端正な御厨の文字がそこにはたくさん連ねられていた。
ところどころおれの名前も出できて、それを見つけるたびに胸がくすぐったくなった。
高校時代からはじまったそれは、御厨の切実な気持ちが詰まっていた。
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