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…そう言えば…
俺は以前、友人の霧島と、こんな会話をした事が有る…。
「なあ。吉本(俺の事)よ…。
人には、な。『見えやすいタイプ』と『見えにくいタイプ』ってのが有るんだそうだよ。どうだ!知ってたか?!」
「ああ。そんな事か。もちろん、知ってるさ」
俺は、霧島の言葉に『何を今更』と気の無い返事を返す。
ここで言う…
『見えやすい』『見えにくい』というのは、
無論(?)霊的存在が見えやすいか見えにくいかって事だ。
霧島は、赤ら顔で陽気にニヤニヤ笑いながら更に言葉を続けた。
(うーむ。コイツ、相当、酔ってやがるな)
「実は、な。吉本。
人間っていうのは、誰もが人生の中で必ずと言っていいほど、何かしら心霊体験をしているそうなんだよ。
しかし『見えやすいタイプ』の人間はそれに気付くんだが、それに対して『見えにくい人間』は気付かない…って言うか信じない」
「まあ…そんなもんだろうさ」
俺は引き続き、赤ら顔の彼の言葉に相づちを打った。
霧島の『講釈』は、更に続く。
「例えば…だ。
ある夜、一人で道を歩いていたとする。
で、その時に、どこからともなく不気味な『声』が聞こえてきたとする。
でな。
その時『見えやすいタイプ』の人間は、「こ、これは!近くに『ナニか、いる』に違いない!」と、察知するんだが、
『見えにくいタイプ』の人間は、「今のは、たぶん風の音か何かだろう。気のせい!気のせい!!」で、済ませてしまうと言うんだなぁ!これが!」
「まあ…
そういう事は、気付かない体質の方が良いんじゃないか?」
と、俺は彼の言葉に応戦した。
「だってそうだろ?
いちいち聞こえてきた声とかにガクブルしてたら、それこそ気が休まる時間が無いじゃないか。
人によっちゃ、慣れっこにならなきゃ、やってられん人間だっているだろ。
そうでなきゃ、いつかマイッちまう」
よっしゃ!
今度は、俺の方が霧島のヤツに『講釈』をたれる番だぜ(笑)
と…
「でもな、吉本よ…。
例え『見えにくいタイプ』の人間でも、普段から怪談を読んだり、話したりし続けているとだな…。
やがては、だんだんとその人間も『見えやすいタイプ』に体質が変わって行って、そういった事に『敏感』になるらしいんだよ。どうだ!知ってたか?!」
…って、おいっ!
俺の『講釈』は、
スルーかよっ!!(汗)
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