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「…全く、霧島のヤツときたら…酔った勢いとは言え、自分ばっかり『講釈』をたれるくせして、俺の話はスルーするとはな…」
と…
俺は、霧島との以前の会話を思い出して「やれやれ…」と、ため息をついて、ちょっと苦笑いした。
ここは…
俺が独り暮らしをしているアパートの自室だ。
と…再び、彼の『講釈』が頭の中に浮かんだ。
『…でもな、吉本よ…。
例え「見えにくいタイプ」の人間でも、普段から怪談を読んだり、話したりし続けているとだな。
やがては、だんだんとその人間も「見えやすいタイプ」に体質が変わって行って、そういった事に「敏感」になるらしいんだよ。どうだ!知ってたか?!』
「うーん…。
『そういった事に敏感になる…』ねぇ…」
俺は、腕組みして部屋の天井を見上げながら考えた。
かく言う、この俺は…
普段から怪談を読んだり、話したりしているどころか…
年中、ホラー小説ばかり書いているんだが…
心霊現象とかには、全く縁が無く、
当然、霊体験は全くの未経験…。
一向に『見えにくい体質』…と言うか『全く見えない体質』のままだ。
(って言うか、全く信じてないが。笑)
ちなみに年中、ホラー小説ばかりを書いていると言っても…
俺は、別にプロの作家じゃあない。
実は、プロの作家を目指してせっせと作品を書いては、
あちこちのクリエイター・サイトのコンテストに投稿し続けている、しがないサラリーマンだ。
目指すは!
夢の印税生活!!
しかし…
今のところ、
投稿結果は、全戦全敗(涙)
しかし!
「よ、よしっ!
次行こう!次っ!」
と、俺は今、気持ちを切り替えて、次回のコンテストに投稿する為、新たな小説の執筆を始めている。
俺が書くジャンルは…
ほとんど全てが、ホラー。
いや!
むしろ『ホラーこそ我が個性!我が武器!』
と言っても、過言ではないかもしれない(笑)
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