ごめんなさい、と呟いた。

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「……うん、ありがと」  自分は、臆病者だ。結局肝心なことを何も言えないまま――こうしてまた、彼の優しさに甘えてしまっているのである。  タクミの、男性にしては細くて綺麗な指に自分の指を絡めて、真琴はスカートの裾を払いながら立ち上がった。背中に張り付くような罪悪感に、ぎゅっと心臓を鷲掴みにされながら。 ――でもね、タクミ。まだ、言えてないことがあるんだよ。  真琴の人生を照らしてくれる太陽を、自分はいつかこの手で殺さなければならなくなるのだ。  それが、優しい優しい彼を騙している、自分の最大の罪なのだから。 ――僕、本当は、男の子なんだよ。  女の子に見える姿ならいっそ、どうして神様は自分を本当の女の子にしてくれなかったのだろう。  泣いても喚いても、現実はけして変わらない。  真琴を本物の少女だと信じて、エスコートしてくれる彼を。自分は今日も、見えない場所から切り刻んでいる。
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