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in生徒会室
「結構待たせちゃったね~お待たせ京谷くん……あれ?」
来年度に向けての準備のことで話し合いをしていた伊勢崎と生徒会長である新見。
その話し合いは転校生である上野を待たせてしまっていることもあって、早めのお開きとなった。
諸事情により別室で話していた二人は上野のいる生徒会室へ戻った。…はずだった。
しかし、そこには上野の姿は無く、代わりに書記である日比谷 千という生徒がいた。
「えっ京谷くん消えた?」
「いやおかしいでしょう。上野くんはその辺りちゃんとしてると思いますよ」
だよねー、と言って新見は日比谷を見た。
「千!お前京谷くん見なかった?」
「…京谷って誰ですか」
仕事が溜まっているのか少し不機嫌そうだ。
「うーん…制服着てなくて、茶色っぽい髪の子」
新見がそう言うと日比谷は黙り始めた。思い出しているのだろう。
そして、急に「あ"っ"」と叫んだ。日比谷の顔にはやっちまったという表情が浮かんでいる。
「あれ生徒会の奴じゃなかったのかよ!」
「やっぱりお前が犯人かあ~!お前今回どこにパシらせたの」
人の出入りが多い生徒会室ではこういうことがたまに起きる。しかし、顔を確認せずにすぐ用事を押し付ける癖のある日比谷はしょっちゅうこれをやらかす。から、慣れたものだ。
「あー…会計のところです」
その瞬間、2人の顔が固まる。
「それは、かなりまずくない?」
「ですね…」
伊勢崎が大きくため息をついた。
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