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「お前それなんで早く言わなかった」
「お前だけが…本当の俺を見てくれた…それが嬉しかったんだ」
高崎は少し悲しげな表情でそう言った。
「適当抜かしやがってボケが」
『ドリアとトマトスパゲッティとサラダになります』
「えっ…なんか来た…」
高崎と話しているとイケメンウェイターが料理を持ってきた。私まだ頼んでないです
コトリ、コトリと皿が置かれていき、最後にウェイターがにこりと微笑み一礼して去っていった。
「料理頼んでないのに来た…」
俺が困惑の表情で高崎を見ると
「頼んどいた」
笑顔で言われた
これは気が利いているのか…?
「それにしても、俺が世界4位の男でも上野は何も変わらないだろ?」
勝手に世界に出ていきやがった
「よしんば私が世界2位だとしたら?」
「世界、1位です」
「順位変わってんじゃねーか
まあ、お前への態度とか立ち回りは変わらないけど…今まで会ってきた人間全て抱きたい抱かれたいランキングというおぞましいものにランクインしてると思うとなあ…恐ろしいねえ…」
「え、上野俺以外にも会ってたの」
「生徒会の何人かと」
「そいつはびっくりだ」
高崎が形容しがたい顔を作っているのを見ていると周りのざわめきが先程より大きくなっていることに気がつく。
「なんかまたうるさくなった?」
「あーーまた有名人来たんじゃね?」
「ほーん」
毎日こんなことやってんのか大変だな。
然程興味はないので引き続きトマトパスタをくるくるとフォークで巻き取る。
「高崎めっちゃ興味津々に有名人見るじゃん」
ちらりと見た高崎は有名人がいるであろう方向を見つめている。そしてなぜか少し顔が曇っている
「上野さあ…庶務と会った?」
「伊勢崎先輩のこと…?昨日案内してもらった」
「多分庶務こっち来てるぞ」
「エ"ッ"伊勢崎先輩が俺の近くに寄ってくるはずないだろ!」
「こんにちは。上野くん」
デジャブ。凛とした声が響き、俺は後ろを振り返る。
「昨日振りですね」
昨日と変わらず美しい顔がうっすら微笑む。
そうですね、伊勢崎先輩。
どうしてここに?
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