1.拝啓

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職質さんはこちらに来いと手で示してくる。 そこにあるのは少し小さめの建物だ。 門の横にある小さな施設…ひらめいた!この人、職質じゃねえ!守衛だ! 確かにセキュリティ云々言ってた学校が門開け放ってそのままだったら不審者入り放題になってしまう 俺も不審者。 ということで守衛さんの方へ向かった。 「君のお名前は?」 守衛さんがキラキラ笑顔で聞いてきてくれた。くっそイケメン!上野は世界で2番目に美男美女がすきです。 「上野京谷です。」 「おお…転校生の奴か!」 いきなりフランクになるなよォ…びっくりしちゃったよ… 「そうです」 「おっけーおっけー、じゃあ一応到着した連絡はこっちでしておくから。上野くんはこの先をずーっと進んでってね」 「わかりました、ありがとうございます」 「そうだ!君の案内役の子はめっちゃきれいな顔してる子だから、それ目印にして」 お前はそれでもこの学校の守衛か 「…守衛さんより綺麗?」 顔がいい奴には顔がいいと素直に言う。これ大事。 「…君と同じ位綺麗かな?」 キメ顔で言ってくださった。 自分の顔の良さに触れることなく、さらに口説いていくとは素晴らしい高等テク! 「うわあこの学校最高ですね」 「そりゃよかった」 守衛さんはケラケラと笑う。 うーんいい笑顔。これは写真にぜひとも収めたい。さすがにしないけどね 「それじゃあ、ご丁寧にありがとうございました!いってきますね」 「がんばれー!……………中々に濃い子が来たなあ」 守衛さんの呟きは聞かなかったことにして、さらなるイケメンを目指して足を進める。 守衛さんがいい人だったので少し安心はしたもののまだ違和感がある。俺がこの豪華な背景に馴染めていない。 因みにまだ制服が届いてないので私服だ。最悪。わたしは庶民。 自分の状況に無駄なコンプレックスを抱きつつも綺麗に舗装された道を歩いていく。 しかし、守衛さんがいるとはいえ世の中はまだ休みの真っ只中だ。人の姿が全く見られない。そのせいか少し淋しい印象を受ける。この学校があまりにも広すぎて見つからないという線もなくはないが、今すぐセグウェイを購入したくなるので考えるのはやめておこう。
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