おじいちゃんの青い顔

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 おじいちゃん唯一の理解者という雑種犬のハチが遠吠えする。 「お父さんを悪く言うのやめて、お父さん悪くないよ」 「ケツの青い子供がなにを言うか!」  このとき私は小学4年生。怒ってばかりのおじいちゃんに我慢ができなくなって、セミの声に負けない怒鳴りあいをしてしまったのだ。 「青くないよ!」 「青いわ! 空より青いわ!」  小さな妹がいちばん大きな声を出して泣きはじめてしまい、あわてて飛び出してきたお母さんが私の口を押さえて平謝り。 「あんたの教育が悪い!」  私は悪いこと言ってないのにお母さんが悪く言われてしまった。  そのあとだされた畑のスイカは種が多すぎて食べにくかったから、私はおじいちゃんにはどうしても反省して欲しくなった。  蚊取り線香の煙が天井にむかって伸びているのがはっきり見える。気合十分だったおかげで寝てしまうことはなかった。  みんなが寝息をたてたのを確認して、私は布団から抜け出した。  子供なりの作戦はこうだ。  おじいちゃんの耳元でこう囁く。 「青くない青くない。お父さんは青くない。おじいちゃんのお尻がまだ青い」  それだけのこと。  今にして思えばなんのおまじないだろうと吹き出してしまうけれど。小学生の私は真剣そのものだった。     
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