おじいちゃんの青い顔

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 妹はブーブー反論を続けて、高校生の私は苦笑するしかなかった。  そんな私をおじいちゃんが目を丸くして見ている。 「え? なに」 「おまえ、せいこに似てきたな」  一瞬、おじいちゃんの顔が青ざめて見えた。 「おじいちゃん、お姉ちゃんはあおいだよ、せいこじゃないよ」  妹につつかれておじいちゃんはみるみる赤くなっていき。 「ば、ばあさんの名前だっ! あおいはあおいだ、わかってるわ!」  うちに来て、はじめて怒ったおじいちゃん。  びっくりした妹が泣き出してしまい、なだめるのはあの夏の日以来だったかもと思ったり。  おじいちゃんの赤い顔はそれから7年、青に戻ることなかった、と思う。                   〈完〉
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