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オヤジも兄貴も180越え。お袋は168。何がどうなったのか俺は163。 確かに、うちでは低いかもしれないけど、世間的にはそんなに目立って低いって程でもない。 しかし、オヤジは気の毒に思ってるのか、この見合い攻撃だ。 妙な沈黙が流れた。 俺はまた窓の外を見る。 ここからは俺の店が見える。 『店』といっても狭い店舗で、主に20代女性向けの服を扱うセレクトショップだ。 店番はバイトに任せて出てきたが、俺目当ての客も実は結構多い。 人気お笑い芸人の片方に俺が似ているとかで、興味本意に訪れる子が殆どだが。 と… 早速、見るからに『それ目的』な三人組が訪れたようだ。 内二人は、入り口の服を手に取ってはいるが、しきりに店の奥を気にしている。 そこそこ流行りを取り入れた、ゆるふわ系とモテかわ系。 その二人より外で、店の外観や道行く人ばかり見ている、連れの二人より頭一つ背の高い一人は、 迷彩柄Tシャツにカーキのパーカーを羽織り、細身のブラックデニムにスニーカー。 全く化粧っ気の無い顔に、伸びかけ適当感漂うショートヘア。更に後ろで寝癖がハネている… スタイルは良いのに、その適当差とのアンバランスが面白い。 俄然、興味が湧いてきた。 「兄貴、オヤジによろしく!」 俺はそう言うなり勢いよく席を立った。     
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