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②
「ねぇねぇ、アヤちゃん。明日、例のお店行くんだけどぉ、一緒に来てくれる?」
「お願いっ!」
黒目がちのタレ目とまん丸目に上目遣い(身長差のせいともいう)に見つめられる。
中学からの親友二人、楓(タレ目、おっとり)と美羽(まん丸目、妹タイプ?)。
女の子らしくて可愛い二人が、どうして全く趣味も違う私とこんなに仲良くしてくれるのか、今でも不思議なんだけど…
なんて事を考えてボーッとしてる私に、何か予定があると勘違いしたのか、
「あっ…ごめん。明日、何かあった?」
と美羽はオロオロしている。
「そうだよねぇ、アヤちゃんキレイだから、デートだよねぇ」
しょんぼりする楓。
はぁ!?
「いやいや、二人じゃあるまいし。私に声かける物好きなんか居る訳ないでしょ!?」
何をどう思ったらそんな事思い付くのか、こっちが驚いた。
「大丈夫だから、三人で行こう。あの…今人気のお笑い芸人に似た店員が居るショップだよね?」
みるみるうちに二人共嬉しそうな顔になりニコニコしてきた。
「そう!カッコいいよねっ」
「お話できたらいいなぁ…」
あんまり興味が無いけど、TVの露出が多いせいか、私でも顔と名前は知っている。
確か…『外見だけ』と『外見はそこまでじゃないけどしゃべりメイン』のコンビ。
二人がドキドキしているのは、あんまりカッコよくないしゃべりメインの方らしい。
翌日─
「ここだよっ、アヤちゃん!」
「早く早くぅ、アヤちゃん」
二人は興奮と緊張が混ざってほんのり上気した顔で、もそもそと後を着いて来ていた私を急かす。
入り口のマネキンが着けている服は…どう見ても私には無理な、可愛いくてヒラヒラの…
そう、ちょうど楓と美羽にならピッタリな服だ。
ふわふわやヒラヒラやリボンみたいなのは、可愛いとは思うけど、私のカラーじゃない。
益々入り辛くなってしまった。
楓と美羽は少し声を潜めながら
「今日、居るのかなぁ」
「見える?」
とその辺の服を手に取り、見ている素振りをしているが、心は店内に飛んでいる感じで…
私は、というと…
店のテイストと違い過ぎて何だか落ち着かなく、周りの視線が気になって、道行く人を見てしまう…
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