剃りたい気持ち

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剃りたい気持ち

本上カズマ 学習塾向け教材を取り扱う中規模企業に勤めるサラリーマンである 営業部7年目になる会社のエースである サラサラの髪 きりっと整った眉毛 ビューラーいらずのまつげ 鼻毛が飛び出たことなど一度もない 常に整えている イケメン俳優のようなハンサムとまではいかないが、均整のとれた顔立ちをしている スーツもシャツもぴしっと着こなしている ズボンの折り目も常に綺麗である 匂いにも気を使っている きつくならないようにさりげない香りを漂わすようにしている そんなカズマが苦手とするのは夕方の営業である 基本的に営業に行くのは昼過ぎである しかし、ごくごく希に夕方にしか訪問アポが取れないことがある その日はカズマにとっては苦悩の日である この日カズマに一件のアポが入った カズマが担当している、セオ塾からの依頼である (今日の19時からか…できれば避けたいが仕方ない。お得意様だしな) カズマはアポの件を上司に報告する 「遅くなるかもしれんが大丈夫か?」 「ええ、仕方ありません。夏期講習前は先方も何かと予定が変わりますから」 「分かった。あまり遅くなりすぎないように」 「はい」 (移動に20分かかるから18時20分には出るとしよう。それまでに…)     
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