惨劇・残党狩部隊編・殲滅

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「落ち着け、落ち着かんかっ!!貴様それでもロジナ候国の兵士か、他の連中はどうしたっ!!エルフはいたのかっ!!」 「死んだっ!!死んだっ!!皆死んじまったよっ!!皆、皆、気味悪りぃアンデットどもに殺されちまったっ、皆殺しだ、皆殺しなんだよおぉぉぉぉっ!!!このダンジョンは普通じゃねえ、普通じゃねえぇぇぇよおぉぉぉっ!!!」 指揮官に渇を入れられた兵士は正気に戻るどころか更に半狂乱になって喚き続け、その異様な様を目の当たりにした他の将兵達が動揺し始めるのを目にした指揮官は小さく舌打ちした後に号令を発した。 「ダンジョンに入った連中に何かが起こった様だな、急いで救援に向かう、全員直ちにダンジョンに突入するっ!!ダークエルフも囮として連れて行くぞっ!!」 (どうやらあの屑どもに何かが起こった様だな) 怒号の様な号令を下す指揮官の様子を目にしたライナは自分やリーナ、アリーシャを凌辱し嬲り続けていた連中が憐れな末路を辿ったらしい事に僅かばかりだが溜飲を下げ、その後に兵士が喚いていた言葉の中にあった皆殺しと言う不穏な言葉に思いを馳せた。 (あいつは皆殺しと喚いていた、と言う事はリーナやアリーシャも……だが、もしも苦しまずに逝けたのだとしたら……こんな生地獄の様な状態よりは……マシなのかもしれないな……どうやら私もダンジョンに向かう様だし、そうすれば彼女達の所へ) ライナがそんな事を考えているとその傍らに足音荒く兵士が近付き、先程に比べると明らかに余裕が無くなっている兵士達は無言のライナに忌々しげな表情を浮かべながら怒声を浴びせた。 「オイッ!!何時まで余韻に浸って呆けてやがんだこの阿婆擦れがっ!!ダンジョンに向かうからさっさと立てっ!!」 兵士達は怒声を浴びせながらライナを無理矢理立たせると、引き摺る様に準備を整えた残党狩部隊の先頭へと移動させ、指揮官はそれを確認した後に傍らで準備を終えた魔導士に声をかけた。 「魔狼を最初に突入させよう、露払いや囮に使える」 「致し方無いでしょう、追跡能力を有した連中なので少々惜しい話ですが背に腹は替えられませんからね」 指揮官の提案を受けた魔導士は顔をしかめて応じた後に後方に控えている魔狼達をダンジョンに向けて侵入させ、全ての魔狼達がダンジョンの入口に消えると同時に指揮官はダンジョンへの侵入を命じた。
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