惨劇・残党狩部隊編・殲滅

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「屑どもを始末してくれて、感謝している、私の親友2人も貴方方の手によってこの世から旅立っている筈だ、私を刺し貫き2人の所へ向かわしてくれ、そして、私の後ろにいる屑どもに地獄を味あわせてやってくれ」 佇む青白い一団に向けて淡々とした口調で告げた後にゆっくりと瞳を閉ざしたライナ、その鼓膜を抑揚の乏しい低い声が揺さぶった。 ……早マルナ、気高キダークエフルノ戦士ヨ、御主ノ戦友達ハ、我ガ主ノ御恩情ニヨリ手厚ク介抱サレテイル、スグニ御主モ我ガ主ノ御力デ回収サレル、戦友達ト共ニ、傷付イタ身体ト心ヲ、癒スガヨイ…… その声を受けたライナが驚きのあまり思わず目を開けると、青白い顔色の先発隊の将兵達は歩みを再開してライナの脇を素通りし、それと同時にライナの姿が消失してしまう。 「ど、どう言う事だっ!?な、何故あのダークエルフが襲われんのだっ!?そ、そして奴はどこへ行ったのだっ!?」 「……彼女ハ我ガ主ノ御力ニヨリ回収サレタ、今頃ハ、戦友達ニヨリ、手厚ク介抱サレテイルデアロウ」 指揮官が狼狽えながら発した言葉に応じる様に抑揚の乏しい低い声が残党狩部隊の後方からかけられ、突然想定外の方向からかけられた声を耳にした残党狩部隊の将兵達が慌てて後方に視線を向けると退路にあたるダンジョン入口への道は剣を両手に備えた死霊騎士とその後方に控えるスケルトンとボーンウルフの集団によって封鎖されており、予想外の事態を目にした残党狩部隊の将兵達が驚愕の表情を浮かべていると両手に剣をもった死霊騎士が蔑みの目で彼等を見ながら口を開いた。 「貴様等ガ捕ラエテイタ、エルフトダークエルフノ戦士達ハ、我ガ主ト我ガ主ノ寵ヲ受ケシ御方ニヨリ、手厚キ介抱ヲ受ケテオル、後ハ貴様等ヲ食ライ尽クスノミダ」 「し、死霊騎士だと!?な、何故発生したばかりのダンジョンにこんな奴が、ま、魔狼達は何をしているのだ」 「……ソレハ、コイツ等ノ事カ?」 突発事態の連続に狼狽える指揮官の呟きを聞いた死霊がそう言うと三叉路の奥から先んじてダンジョンに侵入した筈の魔狼達が姿を現して残党狩部隊の将兵に向けて低い唸り声をあげて威嚇を始め、その様子を目にした魔導士は慌てて魔狼達に向けて杖を振ったが狼達はそれに頓着する事無く威嚇の唸り声をあげながら残党狩部隊に向けて更に近付き始めてしまう。
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