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「そ、そんな馬鹿な、な、何故、使役出来ないのだっ?」
魔狼達の様子に変化が無い事を確認した魔導士は青ざめた顔のまま呆然と呟き、それを聞いた死霊騎士は蔑みの視線を魔導士に向けながら口を開いた。
「我ガ主ノ御力ノ及ビシコノ地ニテ、ソノ様ナ小手先ノ使役魔法等、何ノ意味モ持タヌワ」
死霊騎士がそう告げていると青白い顔をした先発隊一同が足を止め、残党狩部隊の将兵達が戦きながら見詰める中彼等は自分の顔の皮膚を鷲掴みに掴んで自分達の顔を自らの手で引き剥がし始めた。
引き剥がされた顔の皮膚の下からはくすんだ色合いの頭蓋骨が姿を現し、顔を剥ぎ取った先発隊の甲冑を纏った骸骨、ボーンウォーリアー達は笑う様にカタカタと骨を鳴らしながら残党狩部隊の方に向けて剥ぎ取った己の顔の皮膚を放り投げ、それが近くに着地してしまった残党狩部隊の将兵達が怪鳥の様な叫び声をあげる中、死霊騎士が号令を下す。
「行クゾ、我等ガ主ニ仇ナス愚カ者ドモヲ、皆殺シニスルノダ」
死霊騎士の号令を受け残党狩部隊を取り囲んでいたスケルトン、ボーンウルフ、ボーンウォーリアー、魔狼の集団は一斉に残党狩部隊に襲いかかり、余りの突発事態の連続に呆然自失の状態に陥ってしまっていた残党狩部隊は完全に対応するのが遅れてしまう。
ある者は数匹の魔狼に生きたまま貪り喰われ、ある者は群がるアンデットの剣や牙に全身を貫かれる、後手を踏んでしまった残党狩部隊の将兵達は身の毛もよだつ断末魔の悲鳴をあげながら次々にアンデットと魔狼達の餌食となって行き、ダンジョン内には残党狩部隊の将兵があげる断末魔の悲鳴が幾重にも木霊していた。
マスタールーム
「……こ、ここは一体?」
ダンジョンに命を捧げる覚悟を決めて青白い顔をした先発隊の将兵達にその命を委ねた筈のライナはいつの間にか自分がダンジョンからゆったりとしたサイズのベッドやソファーが置かれた寛ぎ空間にいる事に気付いて戸惑いの声をあげ、その声に応じる様に穏やかな声がかけられた。
「安心しろ、ここは安全だ」
その声を受けたライナが視線を向けるとそこにはミリアリアが穏やかな表情を浮かべながら立っており、訓練の際等でその姿を見知っていたライナは威儀を正そうとしたが自分の褐色の肢体が僅かばかりの布でしか覆われていないのを思い出して羞恥に頬を染めてほぼ剥き出し状態の双丘を慌てて手で隠しながら口を開いた。
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