15. 広島城~白島激震~

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 一方、教官の背後では、隆義たちが広島城からの猛攻に懸命の反撃を行っている。  教官が豪攻車を動かしたのも、城から飛んで来る機関銃の弾から子供たちを守る為だ。 「くそ! あいつら上から撃ってくる!」 [そりゃそうだろうな。奴ら建設中の足場に上がっているぞ!]  隆義は、内堀周辺に植えられた木々越しに、発砲炎と曳光弾を睨んでいる。 「地上も歩兵の数が増えてきた……」  呟いた直後、背後にいる轟震がまた巨砲をぶっぱなす!  ズドズドズドォォーン!! タイミングを遅らせた砲声が三回、晴天ならぬ月夜の霹靂が空へ打ち上げられる。 [こちらエニアック! みんな俺の事忘れてない?]  ノイズ交じりに響くあどけない声。エニアックこと松少年だ。 [メルテルシスよりエニアックへ。お前今どこだ? まさか突撃しちゃいないだろうな!] [突撃なんかしてないって! 俺も今ヤバいって解るからさぁ!]  抗議の意思を込めて、松は声を荒げた。 [とにかく、今どこにいるか教えろ!] [学校出てすぐ西の道路! ココたちから見えないだろうけど敵が来てる!]  どうやら松は、白島小学校と基町高等学校の間にある小道にいるようだ。  彼は今、北方向に向かってステンを撃っている。 [ドクターエイブルだ! エニアック、すぐ北にRPG(対戦車ロケット)持ちが居るぞ! そこだと逃げ場が──] [解ってるよぉ!]  ワインレッドと黒に塗られた松のジャグリオンが、不意にジャンプする。  そして空中で左右に木の葉が舞い落ちるような動きを見せた直後──  件のロケット弾が、すぐ隣の基町高校の校舎、その最東端の角に!  ドォォン!! と大きな音が響き、外観の特徴であるガラスが衝撃で割れていく! 「たかよし!」  不意に、きゅーちゃんが声を上げる。 「きゅーちゃん?」 「にしのほう、さっきまどがわれたところのおく!」  きゅーちゃんが隆義の頭に、思念を送る!  その瞬間──隆義の目はきゅーちゃんの視界を借り、建物の内部を「透視」できた!  目の前でガラスが落下中の建物は基町高校南棟だが、その奥──西棟の下側。 [西より敵機! 基町高校の敷地の中!] [任せて!]  心の声が無線に響き、基町高校のグラウンドに突入した敵機が爆ぜる! [こんな近くじゃ外さないよっ!]  が。 [ココ! 何て事するんだっ!] [ふぇ!?]  零治の怒声!
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