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直後、基町高校のグラウンドから大きな爆発音が響いた。
[基町高校西棟、損害不明!]
心はスナイパーカノンを撃った。
校舎の上からの撃ち下ろしで、装填した弾は徹甲弾。被害は無いと考えたのだろう。
[くっ……。ココ、次は敵の装備もよく見て! ロケット砲が誘爆したんだ!]
[!]
「リトルボーイよりラウンドへ! リーダー、敵歩兵が隠れてる! 隣の高校ッ!」
きゅーちゃんのおかげで、隆義は敵の動きが見えたのだ。
「ドクター、ラウンド、そっちが飛ばしたドローンって歩兵見えてる!?」
[赤外線で探知しているよ!]
「じゃ、赤外線に映らない装備って何かある!?」
本当か? そう思ったドクター義辰は、ドローンを呼び戻し、カメラを暗視モードに切り替えた。たちまち、基町高校南棟、吹き抜けのガラスの真上をゆっくり低空で通過していく。
[おいマジだ、銃を持った奴らが動いてる! こいつらの服、銀メッキだぞ!]
[ぎ、銀メッキ!?]
「見えた!」
意表を突かれるような一言! 隆義は南棟の割れたガラス窓に向かって──
ドッ! ドンドンッ! ドンッ!
──指切りのバースト発砲を開始した。
たちまち建物の中からも反撃が飛んで来る!ろくな狙いをつけない機関銃の弾が、隆義と菊花の機体を掠めた。
[わ! 大丈夫なん!? 今カンって鳴った!]
[ドクターよりラウンドへ! あの敵、銀メッキで赤外線放出を抑え込んでやがる! IRカメラには映らねぇぞ!]
[そんなぁ──私とした事がこんな近くの敵に気付かなかったなんて!]
[あいちゃん、後悔と反省は後! 今はこの状況を何とかするよ!]
隆義はなおも、高校の校舎を撃ち続けている。
「きゅーちゃん、あいつらまさか人質取ってたりしてない……? 高校の学生さんとか」
「あのひとたちのひとじちは、このがっこうのこたちよ。このあたりにおったひとたちは、みどりいろのおおきな、まるいたてものにとじこめられとるみたい──」
「緑色で大きな……グリーンアリーナの中にいるって事か」
隆義は高校の校舎に牽制射撃をしながら、南東の方角に顔を向けた。
だが、そこはシ式の正面ではない。左角の内壁があるだけだ。
菊花の豪攻車は後ろで広島城の方を撃ち続けているが──
[ねぇ隆義、一つ聞いていい?]
「何?」
[あんたさっきから誰と話しとるん?]
「!」
予想外の台詞。
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