15. 広島城~白島激震~

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 菊花にも、きゅーちゃんの声が聞こえたのだろうか。  だが、今は戦闘に集中しなければ、自分たちも白島小の子供たちも危険だ。 [こちら整備班! 大変だ! 二番リフトのモーターが煙を吹いた! 現在人力クランクで対応中!] [ラウンドより整備班へ! 火は出ていませんか!?] [火が出る前にブレーカーを落としたが、念の為、一階に下ろしたら消火剤をかける! モーターが交換できりゃいいが、下も子供たちで一杯だ!]  隆義は無線を通じて状況を聞いているが、轟震の中は騒然としている。  リフトについた整備員は、インディア中隊の一人と共に、人力でクランクを回しながら下に下りようとしていた。 [了解! 一番の方は!?] [何とかもってる! けど、許容ギリギリで運転してるから相当熱が溜まってるはずだ!] [ドリルサージェント! 子供たちの残りは!?] [五年二組と六年全員で四クラス分、百人と少しだ!]  そこまで聞いた零治は、息を大きく吸った。  そして、ゆっくりとそれを吐き出した後── [──了解しました]  落ち着いて、ドリルサージェントに応える。  さらに、零治の行動は続いた。 [ラウンドよりノーブルデイジー、クリアウォーター、二人共聞こえますか?] [聞こえてるわよ!] [広島城からの攻撃に対応しています!] [あと百名ほどで生徒たちの収容が終わります! 轟震の中へ戻ってください]  菊花と真澄に対し、帰還命令。 [て、敵はどうするん?] [囲まれていますが──] [メルテルシスより新兵二人へ! 気を使ったんだよ察しろ! 先に戻れ!] [ジョニーマクレーンだ。ラウンドも考えがあって言ってる。後で会おう!] [……わ、解ったわ。クリアウォーター、戻りましょ] [はい。……皆さん、気をつけて!]  広島城に向けて射撃を続けていた水色と紫の豪攻車が、後ろに下がって行く。 [あぁぁ弾が無くなっちゃった] [夕凪さ……ノーブルデイジー、後ろ!]  ごつんっ!  菊花の豪攻車が何かにぶつかった。 [ドリルサージェントよりノーブルデイジーへ。俺が乗って来た豪攻車にぶつかったぞ。大丈夫か?] [あ、あぁ大丈夫。何ともない]  その瞬間、無人の豪攻車の手から弾切れの機関銃がぼとりと落ちた。  それを横目に、教官は轟震の中の子供たちに叫ぶ。 「ロボットを中に入れる! みんな端のスペースを空けてくれ」
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