真人の受難 

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ちょうど昇降口の前に差し掛かった。 (まずい!このままでは連れていかれる) 「東條先輩、お願いします。今回だけは見逃して下さい!」 「うるさい!黙って付いてくるんだ!」 司は真人を怒鳴りつけた。 「助けてーーーー」 「呼んだって無駄なんだよ」 声が掠れるまで叫び続けた。 __その時だった 「司ーー!!お前何やってるんだ!!!」 司に負けない位、大きな声が外から聞こえた。 二人は声の方に視線を向けた。 玄関の入り口から一人の男が姿を現す。 男は坊主頭で学校のロゴが入ったウェアを着ている。部活中に抜けてきたのだろう。 司より背は少し低い。体も細い。 恐らく彼は野球部の人間だ。 (野球部だったら、先輩の仲間?!) しかし、言ってはいられない。 誰も居ない今、目の前に居る男に助けを求めるしかない。
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