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部室の場所を聞き出すべく、今度は同じ陸上部のクラスメイトに訊ねた。顔見知りのお陰で、気軽に話掛けることが出来た。
自分の行動力に驚くが、やはり親友の事が心配なのだ。様子を見るだけにして、すぐ帰ればいい。
教えられた道に従い、やっと辿り着いた。
校舎の裏手に建っていて、陽当たりは悪い。陰気な印象を与える。
(弘司は居るかな?)
少し離れた場所に真人は佇む。
(もう後には引けない、行こう)
踏み出した時、不意にドアが開いた。
中から一人の男が出ていき、ドアノブに鍵を差し込んだ。
よく見ると、男の顔に見覚えがあった。
司に連行されそうになった所を助けた男だ。
しかし
以前より元気がないようだ。
声を掛けていいのか悩む。
弘司の事も気になるが、目の前に居る男も気になる。
真人は決心し、男に近寄った。
そして、男は真人に顔を向けた。
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