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安定の変態
魔法少女ひまわり組の忖度
夜もふけた教員家族棟。この架空の街は魔王城のレプリカだそうだが、ここは城下町の住宅地にあたった。
実際、ジョナサン以外にも既婚の教員が何人かいて、それぞれが幸せな家庭を築いていた。
ジョナサン・エルネストは勇者の末裔で、自身も立派な勇者だったが、意馬心猿、つまりはエロい感じに盛りついて寝床の妻にちょっかいをかけた。
妻のフランチェスカは、まだ若い初産婦だった。
妊娠出産に対して、 よく解らないことが多過ぎた。二人で学びながら時を重ねてきたのだった。
昨今ジョナサンの心を完全に満たしているものは、安定期という概念だった。
何だか心の浮き立つ響きだった。
安定期。安定期。安定期。
最早ジョナサンは、安定期口ずさみマシーンと化していた。
「フラさん。フーラさん」
「んー、もうちょっと何?やん」
「あーいい匂いですよ。ママ、安定期のママさん」
「あんた最近二人っきりだとそればっかーーんん、や、ちょっと待っ、そこ駄目」
ジョナサンは、背後から抱きしめた妻のうなじに顔を突っ込んだ。
この辺の所作はいかにも犬じみていた。
何というか、発情した犬がいた。
そもそもが犬っぽい男だった。
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