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迎撃
ゴーラ討伐の準備は急ピッチで進んでいった。
凍結したゴーラを取り囲むように、火砲が設置された。
あると思っていた。火箭があるなら火砲もあるはずだった。
最終防衛ラインは、マラガ火山に設定され、数百の魔法使いが、ジョナサンの号令を待っていた。
ジョナサンは先ほどあった村での小競り合いを、思い出していた。
火箭の砲声が轟いた。村は殺気立っていた。
きっかけは些細な諍いから始まった。
どうしようもない災害にも似た状況に身を置いた時、胸に溜めた不満が爆発したのだった。
若者達がオババを取り囲んでいた。
「ふん、ならその火箭でゴーラに挑むがいいさ。テイマーの誇りを捨て、土を汚して掘り返してばかりのお前達に何が出来るか。見せてみな!」
「俺達にだって生活があるんだ!中央の連中がよろしくやってる横で、俺達は百姓仕事か!今がチャンスなんだ!火薬が安定して交易されれば、俺達は金持ちになれるんだ!」
「それでゴーラにやられたら世話はない!お前達が出来るのは、この大地を無意味に削るだけさね!企業とやらと仲良く踏み潰されな!」
「ば、ババア!」
頭に血が上った若者が、火箭を構えた。
周囲が色めき立ち、オババはまっすぐ相手を睨みつけていた。
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