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最終防衛ラインに賢者を置いて、ジョナサンは空を見やった。ロック鳥が降下してきていた。
肉体強化魔法でジャンプ。掻っ攫われるようにロック鳥はジョナサンを運び去った。
複座に改造されたロック鳥には、既にエメルダの姿があった。
ジョナサンは、別に用意された武器を手にした。
太い長筒があった。大筒。要するにハンドキャノンだった。
「エメルダ!行くぞ!ゴーラにへばりつくんだ!ウザがられる準備はいいか!」
エメルダは、ぎゅっとジョナサンの腕を掴んだ。
ロック鳥は速度を上げ、ゴーラに近づいていった。
ゴーラの顔の周りをかすめて飛んだ。
まるで、ユスリ蚊にでもなったようだった。
うざったそうに顔を振り手を振るゴーラを躱しながら、ジョナサンは大筒を構えた。
「頼む!」
ブロンズのジョナサンではなくシルバーのエメルダによる強化魔法。
遥かに高質な力に押し上げられて、発射した反動でロック鳥がバランスを崩した。
大筒は特に弾丸が強化されていた。鋼鉄以上の硬度で弾は風を切り裂き、どんな生き物でも防ぐことのできない急所の一つ、眼球を貫いた。
ゴーラは激痛でがくりと体勢を崩した。
「よし!いける!」
ゴーラの反撃が、全てをひっくり返した。
ロック鳥というより、顔周り全てに向けて放たれた光のブレス。
いなしきれない。
防御障壁を紙のように引き裂くブレスの奔流。
その威力は気流をかき乱し、ロック鳥は錐揉み状態で落下していった。
ドスン。衝撃。怪我はない。ここは、地面でもなかった。
ロック鳥は、空中で静止していた。
ジョナサンが見上げる先で、空間が罅を立て、広がっていく。
ああ。来たな。
「遅えよ。でも、カッコいいじゃねえか」
頼もしい、黒いローブを翻し、そいつは空中に立っていた。
「魔王」
稲光を立て、厚い、雲のような魔力をみなぎらせて、魔王が降臨した。
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