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ユノがスライムを伴って、戦場に降り立った。
「何だこりゃあ。とんでもねえな」
「下がってくださいトンヌェラ。今回は本気でいきます」
「アルフォンスって言ってるだろうがあああ!っていうかまじか!気をつけろ!」
そう言って、スライムは飛んで行った。
ゴーラが瓦礫を撒き散らしながら起き上がった。ゴーラは、ユノを敵と認識した。
ユノが、足元の建物の残骸を発射台にして、パチンコのように飛んだ。
「抜塞大」
ユノのブチかまし。上下同時に突き出された拳打が、ゴーラの顎を捉え、顎が跳ね上がった。
しかし、ゴーラの手がユノを捉えた。蚊を振り払うような一撃は、ユノを吹っ飛ばし、半壊した建物を粉砕した。
瓦礫を吹き飛ばしならユノは飛び出し、ゴーラの腕を蹴り飛ばし、空いた側頭部に蹴りを叩き込んだ。再び倒れるゴーラ。
150メトルの巨獣と、1.40メトルのちっこい生き物のガチンコ対決。
何これ。
ジョナサンは呆然と、あり得ない頂上対決を観戦していた。
ゴーラの敵意が、殺気が膨れ上がる。
光のブレスがユノを直撃した。
何もかもを破壊する光が、都を吹き飛ばし、十字ブロックしたユノが、がくりと膝をついた。
「嘘だろ。ユノが」
呆然と、ジョナサンが呟いた。あのユノが、敵を前に膝を突くなどということがあるのか。
何よりも、この時点で五体満足なのが恐ろしい。
トドメとばかりに、ゴーラが大口を開けた。
「ぬおおおおおおおお!」
発したブレスは、飛んで来た巨大な瓦礫に阻まれ、口腔内で暴発した。
瓦礫を投げたのは、戦士の末裔だった。
ブレスの暴発で、口の半分を引き飛ばされたゴーラは、怒りとともに尾を振り払った。
「はああ!」
気合一発跳躍し、ユノに駆け寄る。スライムも走る。
再度、ブレスの一撃。瓦礫を盾にしたマリウスと、広がったスライムを飲み込んで、ユノを含めた三人は沈黙した。
駄目か。ジョナサンが諦めて肩を下げた。
ゴーラは、鬱陶しい二匹のハエに向かって、腕を振り下ろした。
更に、砲列に向けて尾で薙ぎ払う。
こうして、防衛ラインは崩壊した。
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