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魔王は座標を合わせ、それを待ち構えた。
爆弾を包む魔力の弾核。それを解除し、ベクトルを変え、ゴーラを狙う。
誰の目にも映らない場所で、魔王が、人知れず絶大な力を発揮しようとしていた。
西の大陸の民を守る為に。
超音速の弾頭が、減速しつつ軌道を変えた。
即座に、遠隔通話を行なった。
「いったぞ勇者!」
虚空に、魔王の声が響いた。
「くる!」
突然耳に響いた仲間の声に、ジョナサンは反応した。
ウィンチェスターを装填、初速が向上した弾丸は、ユノと相対していたゴーラの、頭上を貫いた。
爆弾は、樽型のガラスで覆われている液体だった。
ガラスが貫かれ、液体がゴーラに降りかかった。
魔王が戻ってきて言った。
「あれは私が開発した生物兵器だ。皮膚、特に傷口から浸透し、獰猛に体内で増殖する。魔力の上昇に反応して細胞を食い荒らす」
「あいつは、あいつの力の源は大地の力だ。活火山を食ったのはそういうことだった」
「だが、それはユノとて同じじゃ。星の力がユノの力じゃ。どちらが強いか。要はそこじゃ」
サルバトールが、火山を見上げて言った。
ゴーラの身に、変化が起きた。その皮膚が、次々に腐っていった。
ゴーラが咆哮した。
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