第2章 悪の魔王

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第2章 悪の魔王

   1節 峨眉山の戦い    2  黒衣(ヘイイー)でもある方術士・ハンオウ〈韓応〉は、黒装束に身を包み、夜の森に潜んでいた。  風にさやぐは草木ばかり。生き物は息をひそめて動かない。静まりかえった闇森の底には、しかし、ただならぬ気配が蠢いている。  中国南西部、霊峰・峨眉山の裾野にひろがる深い夜の森。聖地として近現代の開発から守られ、3千種の植物が根をはり、絶滅危惧種をふくむ2千種の動物達が暮らす、現代の秘境。方術士にとっても、中国に3か所ある霊山のひとつである。
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