春のはじまり

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 いつも頼ってばかりの自分。家族にも、友人にも迷惑をかけてばかりだ。  今回のことだって真奈美が彼を巻き込んだだけのことなのに、彼はこんなところにまで付き合ってくれている。勉強だって本当なら自分でやらなければいけないことなのに、親切な正人に甘えてこうやって毎日のように教えてもらっている。 「わたしも高田くんみたいになりたいなあ……」  正人のようになれたら。  もっと自分に自信がもてるようになるだろうか。 「……俺、全然優しくなんかないよ」  けれど正人の言葉はそれを否定するものだった。真由美は彼の言葉に顔を上げて、隣を歩く彼を見つめた。 「石井の方がずっと優しいよ。俺なんかよりずっと優しい」  力のこもった声。 「俺は、石井だからこうしてるだけだから」  そう言って正人は少し寂しげな笑みを浮かべた。
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