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それから一週間後、無事子犬は退院した。
しっぽをぱたぱたと振りながら元気よくこちらに駆けてきた子犬を見て、真奈美はいたく感動した。羽のように軽い子犬を抱き上げ、その柔らかい身体を抱きしめる。
「石井のこと、ちゃんと覚えてるんだね」
優しく目を細めて言う正人に、真奈美は少し照れた笑みを浮かべた。
「高田くんのこともちゃんと覚えてるよ」
ね、と言って、子犬を正人の方へ近づけると、子犬は嬉しそうに正人の頬をぺろぺろとなめた。
「ほら、覚えてるって」
にっこりと無邪気な笑みを浮かべた真奈美に、今度は正人の方が小さく照れた笑いを漏らした。
「今日からよろしくな」
子犬を抱き上げて、正人は優しくそのくりくりとした愛らしい瞳を見つめる。
そんな2人の様子がとても可愛く思えて、真奈美はくすくすと笑いを漏らした。心の中がふんわりと、柔らかい明かりが灯るように温かくなった。
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