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春の柔らかい陽射しは分厚い雲に隠されている。
外は雨、空模様は最悪。昨日まで空はあんなに綺麗な水色をしていたのに、今は灰色だ。
まるでわたしの心を表しているみたい――そんなことを思いながら真奈美は空を見上げた。
昨日、いや正確には今日の4限目までは、両親からもらった素敵なプレゼントに全身で喜びを感じていたのだ。けれどその幸せな時間はあっという間に急降下。あの数学の点数はありえない。
傘をさしながらとぼとぼ道を歩く。車や自転車が横を通るたびにはねる水を無意識に避けながら、足は黙々と家を目指していた。
――さすがに、さすがにこの点数は怒られるよねえ……。
数学が苦手だと自分で分かっていながらも、返ってきたテスト用紙を見た瞬間頭がまっ白になってしまったくらいの点数だ。いくら温厚な両親とはいえど今回はやばい気がする。
「はあ……」
ため息は雨の音に紛れ消えていった。
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